
フラット35は、最長35年の全期間固定金利の住宅ローン。
住宅ローンにはさまざまな種類があり、フラット35はその中の商品の一つとなります。
2024年2月から、新しくフラット35子育てプラスの制度が始まりました。
フラット35一般の住宅ローンとどこが違うの?
住宅ローンの中でも「フラット35」は固定金利型で安心できるローンとして知られています。
しかし、近年ではよりお得な選択肢が増えています。
その代表的なものが 「フラット35子育てプラス」「フラット35S」「フラット35維持保全型」 の3種類です。
【フラット35】と民間の住宅ローンの違い
【フラット35】 | 民間金融機関の住宅ローン | |
---|---|---|
金利タイプ | 全期間固定金利 | 変動金利や固定期間選択型など複数の金利タイプ |
借入時の手数料 | 金融機関によって異なる。一律で数万円~の場合や、借入額の2%程度など | |
保証料 | 無し | 無し~借入額の2 %程度 |
団体信用生命保険 | 原則加入(保険料は金利に含まれる) | 必須加入(保険料は金利に含まれる) |
住宅の技術基準 | あり | 無し |
勤続年数 | 問われない | 金融機関によって異なる |
繰り上げ返済手数料 | 無し(web手続きの場合は10万円以上、窓口で手続きの場合は100万円以上の繰り上げ額が必要) | 金融機関によって異なる。有料の場合、繰り上げ金額や金利タイプなどで異なる |
フラット35のメリット
【フラット35】のメリットにはどんなものがあるのだろうか。

まず、【フラット35】の特徴の「全期間固定金利」が大きなメリットのひとつと言えるだろう。将来、経済情勢が変わって市場金利が上昇し、変動金利型の住宅ローンで返済している人の金利が上がったとしても、【フラット35】の場合は融資が実行されたときの金利が完済まで続く。つまり、返済額はずっと変わらない。返済額が増えたらどうしよう……と心配することなく返済計画が立てられるのだ。
「保証料は0円で連帯保証人を求められることもありません。繰り上げ返済手数料がかからないのもメリットでしょう」(岡嶋さん、以下同)
なお、【フラット35】の金利は民間住宅ローンの変動金利に比べて高いため、同じ金額を借りた場合の返済額が高くなることや、購入する住宅が住宅金融支援機構の技術基準を満たしている必要があることなどに、注意が必要だ。
フラット35Sとは?
「フラット35S」は、省エネルギー性や耐震性に優れた住宅を購入する人向けの特典付き住宅ローンです。
フラット35Sは、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかの性能基準を満たした場合、借入金利が一定期間引き下げられる制度です。
特に「ZEH」や「長期優良住宅」との併用で、最大で当初5年間の金利が年▲1.0%も引き下げられます。
特長:
- 住宅の 性能基準 を満たすと、一定期間 金利が引き下げ られる
- 省エネ性能が高い家に住むことで 光熱費も削減
- 耐震性が高い家なら地震にも強く、長く安心して暮らせる
利用条件:
- 断熱性や耐震性の高い住宅 であること
- 省エネ性能に関する基準を満たすこと
▶ フラット35S
フラット35Sは、フラット35の基準を満たしたうえで、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかの性能基準 を満たした場合、借入金利が一定期間引き下げられる制度です。
メニュー | 省エネルギー性 | 耐震性 | バリアフリー性 | 耐久性・可変性 | 金利引下げ内容 (2025年3月31日まで申し込み受付分) |
---|---|---|---|---|---|
フラット35S(ZEH)と 「長期優良住宅」との併用 | 『ZEH』等※、かつ長期優良住宅 | ー | ー | ー | 当初5年間 年▲1.0% |
フラット35S(ZEH) | 『ZEH』等 | ー | ー | ー | 当初5年間 年▲0.75% |
フラット35S(金利Aプラン) (1)~(5)のいずれか1つ以上の基準を満たす | (1)断熱等性能等級5以上、かつ一次エネルギー消費量等級6(認定低炭素住宅、および性能向上計画認定住宅を含む) | (2)耐震等級3<br>(3)免震建築物 | (4)高齢者等配慮対策等級4以上 | (5)長期優良住宅 | 当初5年間 年▲0.5% |
フラット35S(金利Bプラン) (1)~(5)のいずれか1つ以上の基準を満たす | (1)断熱等性能等級4、かつ一次エネルギー消費量等級6<br>(2)断熱等性能等級5以上、かつ一次エネルギー消費量等級4<br> | (3)耐震等級2以上 | (4)高齢者等配慮対策等級3以上 | (5) 劣化対策等級3、 かつ維持管理対策 等級2以上 | 当初5年間 年▲0.25% |
※『ZEH』(地域問わず)、Nearly ZEH(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)、ZEH Oriented(都市部狭小地、多雪地域に限る)
フラット35子育てプラスとは?
「フラット35子育てプラス」は、子育て世帯や若年夫婦世帯が住宅ローンを組みやすくするために設けられた制度です。
フラット35子育てプラスは、子育て世帯や若年夫婦に対して、借入金利が一定期間引き下げられる制度です。
こどもの人数に応じて、最大で当初5年間の金利が年▲0.75%も引き下げられます。
特長:
- 子育て中の世帯や若い夫婦が利用できる
- 一定の条件を満たせば 金利引き下げ が受けられる
- 住宅取得の際の経済的な負担が軽減される
利用条件:
- 子どもがいる世帯 または 40歳未満の夫婦 が対象
- 省エネ性能などの基準を満たす住宅であること
▶ フラット35子育てプラス
フラット35子育てプラスは、フラット35に申し込んだお客さまが子育て世帯(こどもの年齢が借入申込年度の4月1日において18歳未満)、または 若年夫婦世帯(夫婦のいずれかが借入申込年度の4月1日において40歳未満)である場合、こどもの人数等に応じて借入金利が一定期間引き下 げられる制度です。
パターン | 金利引下げ内容 (2025年3月31日まで申し込み受付分) |
---|---|
若年夫婦世帯、またはこども1人の場合 | 当初5年間 年▲0.25% |
こども2人の場合 | 当初5年間 年▲0.5% |
こども3人の場合 | 当初5年間 年▲0.75% |
こどもN人の場合 |
フラット35維持保全型とは?
「フラット35維持保全型」は、住宅を長持ちさせるための維持管理がしっかりされている家を対象とした住宅ローンです。
フラット35Sは、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかの性能基準を満たした場合、借入金利が一定期間引き下げられる制度です。
特に「ZEH」や「長期優良住宅」との併用で、最大で当初5年間の金利が年▲1.0%も引き下げられます。
特長:
- 住宅の長期的な維持管理 をサポート
- 住宅ローンの金利を優遇
- 住まいの価値を長く維持しやすい
利用条件:
- 住宅の 維持管理計画が整備 されていること
- 定期的な点検や修繕の計画が組まれていること
▶ フラット35維持保全型
維持保全、維持管理に配慮した長期優良住宅とした場合、借入金利が一定期間引き下げられます。
メニュー | 要件 | 金利引下げ内容<br>(2025年3月31日まで申し込み受付分) |
---|---|---|
フラット35維持保全型 | 新築は長期優良住宅(リフォームもあり) | 当初5年間 年▲0.25% |
フラット35地域連携型・フラット35地方移住支援型
子育て世帯や地方移住者等に対する財政的支援と併せて、借入金利が一定期間引き下げられます。
メニュー | 要件 | 金利引下げ内容 (2025年3月31日まで申し込み受付分) |
---|---|---|
フラット35地域連携型 (子育て支援・空き家対策) | 連携する地方公共団体による、子育て支援や空き家対策への財政的支援事業を活用 「フラット35地域連携型 利用対象証明書」の交付を受ける | 当初5年間 年▲0.5% |
フラット35地域連携型 (地域活性化) | 連携する地方公共団体による、UIJターン※※やコンパクトシティ形成、防災・減災対策、地域産材使用、景観形成、グリーン化(断熱等性能等級6、7相当の 高断熱住宅を取得)などへの財政的支援事業を活用 「フラット35地域連携型 利用対象証明書」の交付を受ける | 当初5年間 年▲0.25% |
フラット35地方移住支援型 | ・東京23区に在住、または東京圏から東京23区に通勤する者が、東京圏外へ移住し、就業やテレワーク、起業等を行う ・移住支援金の交付決定通知書が必要 | 当初5年間 年▲0.6% |
※※大都市圏の居住者が地方に移住する動きの総称。Uターンは出身地に戻る形態、Iターンは出身地以外の地方へ移住する形態、Jターンは出身地の近くの地方都市に移住する形態
どのフラット35を選ぶべき?
プラン | こんな人におすすめ | メリット |
---|---|---|
フラット35子育てプラス | 子育て中の家族・若年夫婦 | 金利が引き下げられ、負担が軽減 |
フラット35S | 省エネ・耐震性の高い住宅を購入したい人 | 長期的に光熱費や災害リスクを削減 |
フラット35維持保全型 | 家を長く大切に使いたい人 | 住宅の価値を維持しやすく、金利優遇あり |
ポイント:
- 家族構成やライフスタイルに合ったプランを選ぶことが大切!
- 金利の引き下げ条件をしっかり確認してお得に活用する!
【フラット35】の審査基準と審査の流れは?
住宅ローンを借りる場合、年齢や年収によって借り入れの可否や借入額の上限が違ってくるのは、【フラット35】も民間住宅ローンも同じ。【フラット35】の場合は、さらに購入・建築する住宅についてもさまざまな条件がある。下の表に、主な条件をまとめた。
■【フラット35】の主な利用条件
年齢 | 申し込み時の年齢が満70歳未満 |
---|---|
年収 | ●400万円未満の場合 年間合計返済額は年収の30%以下 ●400万円以上の場合 年間合計返済額は年収の35%以下 |
借入額 | 100万円以上8000万円以下 |
借入期間 | 15年以上(申し込み本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年以上) 80歳ー申し込み時の年齢(1年未満切り上げ)、 または35年のいずれか短い期間が最長借入期間 |
住宅の技術基準 | 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅 |
住宅の床面積 | 一戸建て 70m2以上 マンション 30m2以上 |
まとめ
フラット35は、さまざまな金利優遇プランがあり、子育て世帯や若年夫婦、地方移住者など、それぞれのライフスタイルに合わせて選択できるのが魅力です。特に「フラット35子育てプラス」は、こどもの人数に応じて金利が引き下げられるため、子育て世帯にとっては大きなメリットとなります。