
建物の劣化を防ぐ!
どのような建物でも、時間の経過とともに少しずつ劣化していくのは避けられません。
空き家管理を業者に依頼される方には、それぞれに事情があり、現時点では居住はもちろん、売却・賃貸・解体といった選択が難しい場合も多くあります。
しかし、いつまでも現在の良好な状態を維持することは不可能であり、いずれは居住・売却・賃貸・解体のいずれかを選ばなければなりません。
問題は、その時期や方法が予測できないケースが多いことです。
そこで、空き家管理サービスは、将来の選択肢を狭めないためにも、できるだけ長く良好な状態を保つことを目的の一つとしています。
定期的な管理により、雨漏りやカビ、構造材の腐食など、建物の劣化を防ぎ、資産価値の維持につなげます。

近隣住民に迷惑をかけない
空き家の所有者にとって最も気掛かりなのは、空き家が近隣、特に隣接する住民に迷惑を掛けていないかという点です。
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空き家対策特措法)でも、第三条において
空家等の所有者又は管理者は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。
と定められています。
つまり、空き家を適切に管理することは所有者の責務であり、単なる状況確認だけではなく、必要な作業を行うことが求められます。
空き家管理サービスは、定期的な状況確認と必要な作業を並行して行うことで、常に適正な状態を維持し続けることを目的の一つとしています。これにより、所有者の法的責務を果たしつつ、近隣住民との良好な関係と地域の安全を守ることができます。
近隣に迷惑をかけないための管理ポイント
- 雑草・樹木の管理
- 庭や敷地の雑草を放置すると景観を損ない、害虫や蛇の発生源となります。
- 樹木の枝が隣地に越境すると、落ち葉や枝折れで迷惑をかける可能性があります。
- 建物の外観・構造の安全確保
- 外壁や屋根の破損、雨どいの外れなどは落下物事故の原因になります。
- 台風や強風で飛散物が出ないよう、定期的な点検と修繕が必要です。
- 害虫・害獣の侵入防止
- ネズミ、ハト、アライグマ、シロアリなどが住み着くと悪臭や被害が広がります。
- 巣やフン害は衛生的にも問題を引き起こし、近隣トラブルの原因となります。
- 侵入者・不法占拠者の防止
- 空き家は不法侵入や不法占拠のターゲットになりやすく、防犯面で危険です。
- 定期的な巡回と施錠確認、侵入痕跡の早期発見が重要です。
- 悪臭・騒音の発生防止
- 長期間閉め切ると湿気やカビの臭いが発生し、周囲に広がる場合があります。
- 放置された物品や生ゴミがあると異臭の原因になります。
- 景観・美観の維持
- 破れた網戸、割れたガラス、塗装の剥がれなどは近隣の景観を損ねます。
- 見た目の劣化は治安悪化の印象を与え、周辺の資産価値にも影響します。

犯罪行為を予防する
「空き家=放火される」は、本当にそうなのか?
近隣から「空き家になっていると放火されるかもしれない」という声を聞くことがあります。実際、居住中の住宅が被害を受けることは非常にまれです。それは、住んでいる人が「ここを壊すことは罪」という意識を抱くからでしょう。
一方、手入れされて放置されている空き家は、犯罪者にとって「罪の意識が小さい」対象になりがちです。見張られていない、不在と思われる空間だからこそ、犯罪の標的になりやすいのです。
兵庫県の事例から考えるリスク
- 洲本市の空き家放火事件(2024年12月)
リフォーム中だった空き家が全焼し、施工業者が放火の疑いで逮捕されました - 相生市の無断侵入事件(2025年2月)
元料亭の空き家に「興味があった」という理由で侵入した男女が逮捕された事案もあります。
これらは極端な例ですが、放置された空き家が犯罪の温床になりうる現実を示しています。
なぜ「管理されていない空き家」は危険なのか?
犯罪被害は多大な損害も
放火・侵入・器物損壊などの犯罪による被害は、“資産の損失”だけでなく“近隣への迷惑と賠償責任”も伴います。
罪の意識の低下
何の管理もない空き家は、“入ってもいいだろう”という心理を生みます。
負の連鎖:不法投棄も同様
最初のゴミが放置されると、「誰も気にしていない」印象から、さらなる不法投棄につながり、やがて荒廃してしまいます。

防犯の要—空き家管理サービスの目的とは?
空き家管理サービスの大きな目的は、犯罪の標的にならない状態をつくることです。
つまり「居住中と変わらない状態」または「空き家とは気づかれない状態」を維持し、犯罪抑止を図ります。
これはただの清掃や巡回ではなく、安全と安心を守る「空き家所有者の安心保障」です。